Neon Telephone, Three O’Clock

今月初め、20cm フルレンジ Fostex FE206NV 向けのバックロードホーンを納品してきた。お客様は音楽に造詣が深い。私がかなりの「プリンス」ファンであることがお仕事をご依頼いただいた理由の一つということもあり「これをどうぞ」と手に取ったレコードのレーベル面は見覚えのあるペイズリー柄だ。その時点で1987年頃〜1992年頃にリリースされたレコードだとわかる。音楽がかかるが「?」聴いたことはあるが聴き慣れない曲だ。

The Three O’Clock の アルバム “Vermillion” から ’Neon Telephon’ だった。いや、確かに1988年のアルバムだが、正直オリジナルを聴いたのは初めて。 Prince バージョンは正式にはリリースされていない。 2019年リリースの Originals にも収録されていない。マニアック!

‘The Cross’ from Sing O’ the Times 2020 Remaster

音にこだわるプリンスファンの方がどの曲のどんなポイントを聴くかというのはとても気になる。そのお客様は ‘The Cross’(Sign O’ the Times / 1987年)のバスドラだった。

これまでのスピーカーで出なかった音が出るようになったという。1987年のアルバム ‘Sign O’ the Times’ のバスドラはもともとそれほど勢いのある音では収録されていなかった。ところが 2020年のリマスターによってかなり力強く生まれ変わっている。このバスドラがタイトに力強く再生されると、このアルバムの魅力度はより一層高まる。

今回納品したスピーカー。20cmフルレンジによる本格バックロード。詳しくはこちら

その体験以降、ホームスタジオで ’The Cross’ をやたらと聴いている。FE168SS-HP のバックロードに T90A-SE を少し強めに加えたときの The Cross はものすごい。優しいギター、メローなプリンスの声、軽めのバスドラ、スネア、少しずつ音が折り重なっていく。2分28秒 ここから一気に激しい展開に。ギターは激しく、バスドラもスネアも力強くなる。この瞬間に、思わず「ヤバイ!」と声に出してしまった。そして最後まで一気に聴き抜ける。楽器の激しさに合わせて、冒頭は甘く囁くようだった声がが叫ぶような声に。左右交互に響き渡るパーカッション。そして最後の “The CrooooooOOss!” の音の広がり。最高だ。

‘Welcome 2 America’

そんな中 4月9日の朝、プリンスの蔵出しアルバム ‘Welcome 2 America’ が7月30日に世界同時発売が発表されたのを確認。そしてタイトルトラックの配信が始まる。2010年にレコーディングされ、発売されていなかったスタジオ録音のアルバムが11年のときを超えて発売される。これは凄い。 そしてこのタイトルトラック ‘Welcome 2 America’ がカッコ良すぎる…。

そしてこの1週間ほど、’The Cross’ と ‘Welcome 2 America’ がヘビーローテーションとなっている。

第三者がきっかけでもともと知っている曲を聴きなおしてハマるということがよくある。それは単に「○○を聴いてます」というツイートだったり、ラジオで流れただけだったり。あるいは「この曲のココが聴きどころ」というちょっと詳しいレビューだったりもする。この上ない音楽の楽しみ。

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