昨年（2022年）11月に「長岡スピーカーを作ってみたい」を書きました。そこで、どのようなモデルに挑戦するかは、次のような基準で選択すると書いています。
- 入門者が簡単に取り組める
- 安価
- 現代のパーツ（スピーカーユニット）でも良い結果が得られそう
全モデルをチェックして、「１次選考」では21モデルを選出しました。
なるべく低コストでできることが条件の一つとしてありますので、複雑な構造になることが多いバックロードホーンは１次選考でほとんど姿を消しました。
長岡氏のモデルでは頭に“D”が付く型番はバックロードホーンなのですが、Dからは、かなり単純な構造を持つD-2の１モデルだけをピックアップしました。
また、同様にコスト面を考えるとフルレンジ１発が多くなります。ウーハーはユニットからしてコストが跳ね上がってしまいますし、ネットワークが必要になることを考るとコスト面だけではなく、難易度も上がってしまいます。
ウーハーを用いたものとしては 10cm ウーハーをフルレンジ的に使うモデルBS-47だけを選出しました。
「フルレンジ１発」が基本ではありますが、複数ユニットを使うモデルとしては、複数のフルレンジを用いた２モデル（BS-36、フルレンジを４発使ったR-4）、フルレンジとツィーターの簡易的な 2way ３モデル（BS-11、BS-17、BS-20）を選びました。
その他は全てフルレンジ１発の単純なモデルで、１次選考通過モデルは次のとおりです。
| 型番 | 特徴 | 使用ユニット | 掲載書籍（主なもの） |
|---|---|---|---|
| BS-6 | スリットダクトの16cmフルレンジのバスレフ | Coral 6F-1B | スピーカー工作全図面集① |
| BS-8 | スリットダクトの単純な 8cmフルレンジのバスレフ | Fostex FE83(87) | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-10 | L字スリットダクトの 10cmフルレンジのバスレフ | Fostex FE103 | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-17 | 10cmフルレンジ２個とツィーターのスタガードバスレフ 2way | Fostex FE103 Fostex FT500 | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-25 | 20cmフルレンジのバスレフ | Fostex FF225N | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-37 | 12cm フルレンジのバスレフ | Fostex FF125N | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-47 | 10cmウーハーorフルレンジのバスレフ | Fostex FW100 Fostex FE106Σ | 最新オリジナルスピーカー工作20 |
| DB-1 | 16cmフルレンジによるダブルバスレフ （長岡氏が初めて作ったダブルバスレフ） | Technics 16F10 | オリジナル・スピーカー工作45 |
| DB-2 | 10cm フルレンジのダブルバスレフ その後 BS-85としてリニューアル | Fostex FE103 | スピーカー工作全図面集① |
| DB-3 | 10cm フルレンジのダブルバスレフ | Fostex FE103 | 最新オリジナルスピーカー工作20 |
| R-4 | 10cm または 12cm フルレンジの音場型スピーカー | Technics 10F12他 | オリジナルスピーカー設計術④ |
| D-2 | 単純な構造の16cmバックロードホーン | Technics 16F20 | スピーカー工作全図面集① |
| BS-11 | 20cmフルレンジとドームツィーターの2wayバスレフ *BS-11 はその後BS-72が付番された別モデルがある | Fostex FF225N Fostex FT27D | スピーカー工作全図面集② |
| AV-89 | AV用8cmフルレンジのダブルバスレフ | Fostex FE87 | スピーカー工作全図面集② |
| SW-125 | 12cm フルレンジによる軽い低音を出すための小型サブウーハー | Fostex FF125N | スピーカー工作全図面集② |
| AV-88 | AV用に8cmフルレンジの音響迷路 | Fostex FE87 | スピーカー工作全図面集② |
| BS-36 | 10cmフルレンジ片ch２個によるバスレフ | Technics 10F20他 | オリジナルスピーカー設計術② |
| BS-85 | DB-2のリニューアル / 10cm フルレンジのダブルバスレフ 「ミッキー」 | Fostex FE107 | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-3 | 10cmフルレンジによる上面スリットダクトのバスレフ BS-84とほぼ同じ | Fostex FE107他 | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-20 | 20cmフルレンジとホーンツィーターによる2wayバスレフ 「ハイキー」 | Fostex 6N-FE204 Fostex FT17H | オリジナルスピーカー設計術 Special EditionⅡ |
| BS-84 | 10cm フルレンジによる上面スリットダクトのバスレフ BS-3 とほとんど同じ / こちらの方が新しい。 | Fostex FE103他 | 世界でただひとつじぶんだけの 手作りスピーカーをつくる |
同一基準で選んだため、ほぼ同じモデルの改良型もあります。DB-2→DB-85は明確に「リニューアル」という記述あがります。BS-3 → BS-84 は明確にリニューアルとはなっていませんが、おそらく入門者向けに「10cmフルレンジの単純なバスレフ」を考えたところ、結果的に同じようなものができた（ご本人も忘れていたのでは？）だけと思われます。
選出したモデルはどれも簡単なので、このリストは「簡単な長岡スピーカーを作ってみたい」という人には参考になるものだと思います。ただ、かなりシンプルなモデルばかりなので、なかなか「長岡スピーカーならでは！」という感じではないかもしれません。
その点を考慮しつつ、実際に製作するモデルを絞り込んでいきたいと思います。
このところかなりの多忙で、「作ってみたい」と言ってから1年が経ってしまいそうです。そろそろ気合いを入れて…（と、この暑い最中に）
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