Fostex FE208SS-HP 登場

好評のFostex SS-HPシリーズ、FE168SS-HP、FE108SS0-HPに続くモデルとして、20cmフルレンジ FE208SS-HPが2023年3月下旬に発売される。型番からするとかつてのスーパーユニット6N-FE208SSが思い出されるし、その見た目からはFE208ESが思い出される。ところがこのユニットを含めたSS-HPシリーズは、それらの系譜とは若干異なる「新機軸」のユニットだという。何が違うのか?

最も違うのは従来の2枚重ねのマグネットが採用されたモデルとは異なり、極端な右肩上がりの周波数特性ではないことだろう。今回発表されたFE208SS-HPも、マグネットによって生み出される圧倒的パワーは「大きな音(中高域)」を出すことよりも、質と量を兼ね備えた低域再生に大きく寄与しているようだ。

ツィーターの組み合わせは必須か

FE系統の20cmフルレンジを使用されている方の多くはホーンツィーターを組み合わせて使用されていると思う。FE208SS-HPでも同様にツィーターは組み合わせて使用してもらいたい。フルレンジではあるが、ツィーターと組み合わせることは、ある程度前提で開発されたモデルと言える。

T500AmkIII、T900A、T925A、T90A、T96A-SA といったツィーターとの組み合わせを全て聴いてみたが、それぞれのツィーターの持ち味が発揮されながらも、FE208SS-HPの本来の特色である濃密さ、低域の力強さとリニアリティがより高い次元へと進化することが感じられた。また、Folded Diaphragm方式を採用したT360FDとの組み合わせもなかなか良い。ホーンツィーターとは一味も二味も違った音場感、音楽再生を楽しむことが可能だ。

長岡式スピーカーとの組み合わせ

長岡式スピーカーではD-58ES、D-58、D-57、D-55 などこれまでのFE208シリーズ、FE206シリーズ向けのエンクロージャーとの組み合わせが可能だろう。実際にD-58との組み合わせでも問題ないとのことだ。(私自身は聴くことができていない)もちろんモデルごとに異なった再生音となるので、チューニングが必要になった場合はお問い合わせいただきたい。なお、可能な範囲で全ての吸音材(等のチューニング)は取り去ってからあらためて再調整してもらいたい。FE208SS-HPについては特に、これまでのユニットで「良い」とされていたチューニングが必ずしも良い方向に作用するとは限らない。

また、6N-FE208SSやFE208-Solなど、従来のモデルとA/B比較した場合、その音圧差(FE208SS-HPの方が低い)からネガティブな印象を持つことがあるかもしれない。人は大きい方の音を「良い音」と錯覚してしまう傾向がある。比較する場合は音量の調整は必須だ。また、刺激の強い音の後にこのユニットを聴いてしまうと、寝ぼけた音に聴こえてしまう可能性がある。そのような試聴方法ですぐに評価を下してしまわないようにしてほしい。比較結果のレビューなどを読む時も要注意だ。これまでの延長線上にある「良さ」ではないことは意識しておく必要がある。

突き抜けるような鋭い中高音を求める場合は以前のモデルにアドバンテージがあると言える。しかし、適切に調整されたエンクロージャーにセットし、音の余韻や空間表現にまで耳を澄ますと、その音源でそれまで感じられなかったような音が聴こえてくるはず。お気に入りの音源の新たな魅力を発見することができる「新機軸」のスピーカーユニットをぜひお試しいただきたい。

エクスペリエンス・スピーカー・ファクトリーでは個々のユーザーのお好みや使用環境に合わせたエンクロージャーの設計/制作なども承っております。お気軽にお問い合わせください。FE208SS-HP を使用したバックロードホーン等についてもお問い合わせください。

Fostex FE208SS-HP【 Specifications & T/S Parameters 】
a8.0cm
Zn
Fs32Hz
Re7.2Ω
Le0.14mH
Qms1.8
Qes0.19
Qts0.17
Mms15.1g
BL10.74N/A
Vas96.38L
C,s1.68mm/N
EBT168.4
SPL94.5dB(1m/1w)

追加生産のご予約は受付を終了しました(2024年1月頃出荷予定)

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