他人の選曲で聴く音楽の楽しみ 〜 BAR 3614 再訪

日野市のミュージックバーBAR 3614を再訪しました。オープン前日のプレオープン以来、2回目の訪問です。

 他人の選曲を聴くという行為は自分で選曲して聴くのとはまた違った趣があります。選曲する人との波長が合うと、次から次へと繰り出されるグッドミュージックに、ゾーンに入っているような感覚になります。聴いている側、単なるリスナーに過ぎないにもかかわらず。

プリパ(「プリンス・パーティー」の略。プリンスファンの集まりで、DJが次々とプリンスやその関連アーティストの曲をかける。筆者もたまに参加します)のときもそうです。基本的に好きな曲しかかからないのですが、選曲のセンスはDJによって違います。「次にこの曲が来るか!」という良い意味での期待の裏切りから得られる高揚感もまた、他人の選曲でなければ得難いものだと思います。

特に印象に残った曲のはRita Coolidgeのアルバム”The Lady’s Not for Sale”(1972)でしょうか。多重録音と思われるボーカルの絶妙な重なり方。曲ごとに楽器の配置が変わる様子の再現。その場の空気感なども印象的でした。こちらは他のお客さんからのリクエストだったようです。(アーティスト指定)

そして例の如く、外で聴いて良かった曲は家に帰ってから、あらためて聴いてみます。家(ホームスタジオ)ではどのように鳴るのかをチェックしておくわけです。BAR3614と比べると、我が家のシステムでは、分析的に鳴り過ぎてしまう感じがします。この時代の、この手の音楽に合わせて作り、十分なサイズのウーハーを搭載したBAR3614のスピーカーには太刀打ち出来ない部分が殆どであるように感じられます。(もちろん勝っていると思う部分も無いわけではないので「殆ど」と、表現の部分で少し抵抗してみました…)

さて、他人の選曲で聴くことを礼賛しておきながら、最後は私もリクエスト。The Jimi Hendrix Experience, “Electric Ladyland” (1968)から2曲、聴かせて頂きました。イギリス盤の2ndプレスだそうです。私が所有する赤い顔ジャケ(発売時のアメリカ盤はこちらのジャケット。近年流通している盤も基本的にこちら)再発盤とは年季が違います。LP-1 Side A の後半、 “Crostown Traffic” から2tracks かけてもらいましたが、”Voodoo Chile” の空気感には圧倒されました。この感じはBAR3614のスピーカーでないと難しそうです。

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