FOSTEX 6.5″ 2way Project Phase 2 (Woofer 1) Text 4/4

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FW168HS + T250D 2way を試聴】

(荒谷) カーブドコーン、アップロールエッジ、コルゲーションダンパー、ボイスコイル径 φ50、オーソドックスなウーハーです。

(乙訓) 40年近く前から続くオーソドックスな設計です。

 

♪ Ready To Love / Tuck & Patti / Taking The Long Way Home

♪ Mona Lisa / Vino Rosso / BASS & BASS

 

  • FW168HR + T250D 2way を試聴】

♪ Ready To Love / Tuck & Patti / Taking The Long Way Home

♪ Mona Lisa / Vino Rosso / BASS & BASS

 

  • W160A-HR + T250D 2way を試聴】

♪ Ready To Love / Tuck & Patti / Taking The Long Way Home

♪ Mona Lisa / Vino Rosso / BASS & BASS

 

(乙訓) いかがですか? お感じになったことをそのまま表現していただくと。

(荒谷) ここ(L側スピーカーの真横1.5mくらいの場所)で聴く限りは FW168HR が良かったですね。低音の「ガツン」とした感じが出ていました。オケを聞いたら W160A-HR が良いかもしれないですが。これは FW168HS の作例の箱なんですね。ネットワークもそれ用で、ユニットだけ変えている状態です。

(乙訓) ベストマッチかといえばそうではないですね。

(荒谷) ですので、今の状態で聴いて、それだけで判断するはナンセンスな気もしますが。そんな中で聴いた範囲でいうと FW168HR でした。FW168HS 用に作られたわりには FW168HR の方が2曲だけ聴いた限りではしっくりきた感じがします。

(乙訓) 同じものを同じ時に同じように聴いても好みがあるのでそれぞれ感想は違います。FW168HR は限られた時間の中で、しかも音量調整しないという悪条件の中ではあまり良さがでない、また悪さも出ないウーハーだと思います。最初の曲で音量を上げすぎてしまうと2曲目のベースの曲では音が聞こえなくなってしまうんです。前回 FW168HR を聴いて、低域の表現が詰まり気味で、抜けきらないように感じていました。その部分に関しては W160A-HR では解決できていて、「ズーーーン」と行くわけですね。ただ今の試聴では、その「ズーーーン」が伝わるほどの音量ではなかったですが。あとはこのキャビネットの状態だと、まだエンジンが変わってもシャーシがそのままという感じがしました。

(荒谷) それはすごく感じますね。

(乙訓) 先ほどご覧頂いたように W160A-HR は「動きやすさ」「動きにくさ」が振幅によって変化しにくいです。一方で FW168HR は、ある範囲の中での動きはいいんですね。ただ急速に動かなくなる感じがします。これは安定した音圧を届けるにのは適しています。ただ上限がすぐにきてしまう。そう意図して作ってあるわけです。そこを否定するのではなく、それならばどうしたいか(どのような目的で使うか)ということです。出来上がると FW168HR W160A-HR はこの点に関して性格が変わってきます。今聴いているダブルベースの開放弦の音が気持ちよく聴けるのは W160A-HR の方です。一方でビートを刻んで迫力ある低音をずっと奏で続けられるのはどちらかというと FW168HR なんですね。

(荒谷) 確かにそんな感じですね。

(乙訓) バシッ と止まって出すような音は FW168HR の方がいいんですね。タンジェンシャルダンパーで「ピタッ」「ピタッ」となった方がいいんです。W160A-HR は動きやすくしてありますから。むしろ止まらずにバラバラする部分があるんです。これはわかってやっていることですから。

(荒谷) なんせ Fs 33Hz ですからね。

(乙訓) これもダンパーの部分を解析して説明差し上げるとわかりやすいのですが。今回はそれができていません。

先ほど「タンジェンシャルダンパーからコルゲーションダンパーに戻った」という声がありましたが、それぞれがどういう性格を持つかを説明するとよくお分り頂けると思います。先に結論を申し上げあれば、タンジェンシャルダンパーが2枚貼ってあるものは動いてもすぐにピタッと止まります。コルゲーションダンパーは振幅がいつまでも続きます。これが性格の違いに現れるわけです。それぞれどちらにも良いところがあるわけで、一方が「進化型」ということではないわけです。どちらも欲しいなと思ってしまいます。

(お客様) ミッドローには HR の方が良いわけですか?

(乙訓) ダンパーの形状からするとドンときて止まるものの方がいいですね。ボトムウーハーのようにずっと動いてくれた方がいいものは動いた方がいいです。例えばミッドレンジは止まっていたほうがいいので、止まるものの方が仕事をしてくれます。(試作品の W160A-HR, コルゲーションダンパーの方は)どこまでも動いてしまいます。どこまでも行ってしまうと、追従してくれて良い部分もありますが、あまり動きすぎると混変調歪みの原因となってしまいます。音源が動くわけなので、良いことばかりではないわけです。

(荒谷) 私は横から見ていたので特によくわかるのですが、振幅はあきらかに W160A-HR の方が大きくなっていました。

(乙訓) すごくよく動いて、低域は良いのですが、動いてしまうと 中域以上の動きはお留守になってしまいます。そのような点がウーハーとミッドバスの帯域の差になってきます。例えば G2000a (資料-18) などでも動き方を変えているわけです。 ウーハー(下から2番目のドライバー)の帯域では止めたい、ボトムウーハー(1番下のドライバー)の帯域ではもう少し動かしたいというように。実際にはまだウーハーの動きがは足りないような気がしています。次に作り変えるようなことがあればそこはもっと性格分けをしたいですね。同じ口径であれば、ウーハーの方はUDRタンジェンシャルダンパーのままで、ボトムウーハーの方はコルゲーションに戻したいです。

資料-18 Fostex G2000a

(荒谷) とすると現状の W160A-HR はボトムウーハーっぽいということですか?  W160A-HR をボトムウーハーにして、FW168-HR をウーハーにすればおもしろいですね。今の(試作)段階での話ですけれども。

(乙訓) 贅沢ですね。すでに 3way 構想ですね。2way のプロジェクトだったはずなんですが。(笑)それはその通りで、2way で行くのであれば W160A-HR に頑張ってもらってもいいかもしれません。無理をしないで 3way にしていいのであれば FW168HR も使っていただいて。

(荒谷) ただ今日の説明を聞いた方でないと使いこなせなさそうですね。

(お役様) ミッドレンジは NF01R のユニットにするとか。

(乙訓) たくさん買ってくださって。。。今の段階ではダンパーをコルゲーションにして振幅させていますけれども、これをタンジェンシャルダンパーにして動きを止めたらどうなるかはすごく興味があります。二本立てで行くのか、一本に絞るのか迷ってしまいます。二本にして(ユーザーが)使いやすくなればいいんですけれども。

(荒谷) ただ、やはりなかなか使いこなしは難しそうです。スペックだけを見てそこまで分かるかというと、今日いらしたお客様でないと。

(乙訓) W160A-HR FW168HR ではオーバーラップする部分もありますからね。タンジェンシャルは機械的なひねりが加わるので、アップダウンタンジェンシャルダンパーは振幅の範囲が限定されてしまうんですね。

(荒谷) 今回は 2way のプロジェクトなんですが、2way で使うウーハーとして見た場合 FW168HR のように振動系はあまり動かさないで締まった低音とするのか、わりと動かして量感を出していくのか、どちらが良さそうでしょうか? フォステクス好きには前者が好きな人が多い気がします。

(乙訓) まだわからないですね。

(荒谷) この W160A-HR の試作品は思いきり動かす方向で作っていますからね。現時点ではまだ分からないですね。

(乙訓) この試作品よりも動かすということはありませんから、次はこれに制動をかけていく方向で調整していきます。

(荒谷) もしかすると両方の良いとこどりができるポイントがあるかもしれませんね。

(乙訓) W160A-HR FW168HR の間でポイントを探ることになります。ダンパーだけではなくて、エッジもグニャグニャのベロベロなんですよ。あとで壊さない程度に触ってみてください。

(荒谷) (触ってみて)あーーー

(乙訓) これよりも柔らかくはしません。

(荒谷) なるほど。

(乙訓) 試作するときはその先迷わないように、はじめの一歩を一番遠く(エッジで言えば限界まで薄く)にするんですね。この先は部品すら作れないわけですから。FW168HR のエッジの厚みは 0.7mm なんです。W160A-HR は設計上 0.4mm くらいです。

(荒谷) ほぼ半分程度なんですね。

(乙訓) このエッジは素材としては 0.25mm くらいが限界なんです。ただそれだと流石に無理で、ほぼ「膜」になってしまいます。0.4mm くらいというのはかなり攻めた数値です。エッジの幅も攻めて広くとっています。ただ、幅が広くなったことによる影響も出てしまいます。振幅させる仕様にした結果、他に出てくる他の影響もあるわけですね。その影響が出過ぎれば戻していくことになります。今感じてもらったご意見をいただくのは重要です。ダンパーをこうしたらこういう音になる、エッジをこうしたらこういう音になるということが分かって、それを踏まえて商品化を考えることができます。先ほどお話したフェライトの外磁の方を FW168HR の後継モデルのような位置付けにして作るのはどうでしょう? アルニコタイプで大きく動かす、フェライト外磁タイプでバチッと止めるというのはアリじゃないですか?

(荒谷) それはいいですね。

(乙訓) 商品の仕様がクロスオーバーすると難しいですけれど、それぞれにそのような性格付けをして FW168HR のところにリプレイスすれば決まりますね。W160A-HR が「フワー」だとすると FW168HR の後継は「バチッ!」ということでわかりやすいですね。

(荒谷) フェライトのダブルマグネットは FE のスーパー系の系譜もありますから、「バチッ!」 というイメージは分かりやすいです。エンクロージャーは先の話になりますけれども、今日聴いた3モデルとも MDF の箱というところが垣間見える部分がありましたかね。

(乙訓) では3曲目を

 

♪ エルンスト:多声的練習曲第6番「夏の名残のバラ」 / 渡辺玲子 / SOLO

 

(乙訓) ここで規定の時刻ですね。

(荒谷) 今の曲は良く感じました。

(乙訓) 今の曲はバイオリンです。そこまで振幅しないので現時点の支持系の仕様のいい所が出ます。 FW168HR の時よりも進化している面が全部出てきます。FW168HR の支持系の動作状態が低域の再現に適している部分と適していない部分があるわけです。そこはそれぞれ特性を変えていますから。やはり新しく良くなった振動板の良さも出ています。

(荒谷) これ振動板も変えてるんですか?

(乙訓) 当然です。

(荒谷) もう変えちゃってあるんですね

(乙訓) 今日は踏み込んで説明していないんですけれども。

(荒谷) 次回はウーハーの振動板ですね?

(乙訓) 予定では次回ツィーターのつもりだったんですがまだウーハーを語りきれていないです。

(荒谷) 振動板の話は聞きたいですね。

(乙訓) ボイスコイルについてもまだなのですが、次回の説明の中心は振動板になります。前回も触れたアダプターの形状の話もあります。FW168HR が開発された頃の思想と今の思想とでは違う部分があります。やはりモニター直系の音を作るための構造であり材質なんです。W160A-HR は観賞用の方向に振っていますので。それぞれの用途に適するように変えています。モニター用に作るときはこういう作り方はしません。その場合は元のソースに何が入っているかがよく分かるような作り方をします。 W160A-HR は何が入っているか分かるようにするのではなく、気持ちよく聴くためにはどうするかという部分に特化しています。全部同じ作り方ではなく、それぞれに適した材料と技術を使っています。

(荒谷) 次回はツィーターにも入れそうですか?

(乙訓) 進捗によりますね。可能性としては五分五分です。ツィーターはマグネシウムの振動板にエッジをつけて作るプロセスがあります。その他にボイスコイルの検討もしなければなりません。ボイスコイルは何種類か作って聴き比べて、それが面白そうでしたらこの場で発表したいと思います。基本的には T250D と比べてどうかという検討になります。おそらくは T250D と同じボイスコイルの線になると思います。ただ、一つではなくいくつか作ってみて比べてみたいですね。

(荒谷) ツィーターの試聴の際は今使っている箱は使えませんね。(T250D のフレーム形状により、ウーハーと近接して取り付けてあるため。次作はフレームが円形となる予定)

(乙訓) ひとまずフレームはそのまま T250D のものを使えば取り付けられますが。

(荒谷) フレームもいろいろ見てみたいですね。

(乙訓) ツィーターのフレームの材質違いのコレクションも見て頂きたいですね。

(荒谷) それは面白いと思います。

(乙訓) ツィーターの時にはそこはじっくりお見せしたいと思います。次回はウーハーの音色の部分、振動板の部分を中心にやっていきたいですね。あとは内磁と外磁の部分もやりたいです。どこまで準備できるのかという部分も含めて、楽しみにして頂ければと思います。

(荒谷) わかりました。よろしくお願いします。

(乙訓) やはりフェライトタイプとアルニコタイプは比べてみたいですね。

(荒谷) 磁気回路だけ違ってあとは同じ仕様というのも聴いてみたいです。

(乙訓) あとは何度も言いますけれども、今回の W160A-HR の試作品は頭の中で考えたものを「作ってみた」という段階で、何の調整もしていません。そこを調整したものを今後は作っていきます。音色の調整などはここからということになりますので。ウーハーの振動板でやりたいのは重量の調整です。あとはエッジの硬さも含めた振動板の Fo をどうするか、ダンパーを含めた全体の Fo の状態を調整したいですね。感触では(ゴルフで言えば)もうグリーンに乗っています。ホールインワンではないですが、もうグリーンに乗って、これからホールまでどう打っていこうかという段階です。用途別に商品をラインアップできるのであれば、タンジェンシャルダンパーの仕様のものもいいのではないかなとも思っています。そうなればユーザーの方々に選んでいただけますね。特にこちらにお越しの方にはちゃんと聴いていただいて選んでいただけます。

(荒谷) では今日はここまでとしたいと思います。次回は727日(金) 18:00~ の予定です。また正式にアナウンスしますのでまたよろしくお願いします。


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