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資料-4

(乙訓) こちら(資料-4)は Klippel という装置の一部です。フォステクスでよく使用している振幅動作を計測する装置です。

資料-5

(乙訓) こちら(資料-5)はデータ(T/S パラメータ)の一部です。

(荒谷) 16cm フルレンジも2モデル出てますね。ここでは W160F-HR はないですが。

(乙訓) それはまだ磁極だけなので。動作の段階まで行っていないです。

(荒谷) なるほど。そうでした。

(乙訓) 今回開発中のモデルと同じ口径のものも測りたくなってしまいましたので、フルレンジの FE168EΣ(現行モデル), FE168ES15年以上前の限定モデル)も測ってみました。フルレンジの方も検討していますので。数値を見ると興味深いところもありますね。

(荒谷) 「a(実効振動半径)」は全部 6 でしたっけ?

(乙訓) ちゃんと調べて全部 6 でした。

(荒谷) 6.5 のものもあったかと思いましたが HR振動板のものは6でしたかね。 FE166En 6.5 だったと思います。

(乙訓) この数字を見て何か気になるところはありますか?

(荒谷) あげるとすれば W160A-HR Fs 33.7Hz ですね。

(お客様) (若干のざわめき)

(乙訓) 勘違いしないでくださいね。このまま売るわけじゃないですよ。これは「こうなった」という結果に過ぎません。これ以上は(Fsを)下げないという一番低くなるような一番柔らかく設定した状態の部品でやりましたから。ここからもっと下げることはありません。

(荒谷) ここから上げる方向で調整するということですね?

(乙訓) 上げて(音が)つまらなくなるような、そんな上げ方はしません。例えば振幅し過ぎて異音が出るようなトラブルがあれば対処しますが、意識的に上げるようなことはしません。

(荒谷) あと気になるところといえば、ウーハーはやはり振動系が重いんだなという点でしょうか。Mms はカタログ値だと Mo ですか?

(乙訓) ぐるっと回って同じですね。

(玉置) そうですね。ぐるっと回って同じです。

(乙訓) 振動系の部品をひとつずつ測って「合計何グラム」というのとは違います。等価的な質量ということです。振動板を1g重くしたら Mms 1g 増えるというものではありません。もちろん増加はするんですけれども。 完全に数字がリンクしているわけではありません。もちろん重めの振動板を使えば重く出ますし、軽ければ軽く出ます。表の 6.5インチだとフルレンジは10g未満、ウーハーは10g以上になっています。

(荒谷) なるほど。

(乙訓) フルレンジの軽さとウーハーのように剛性を確保した場合では質量は違います。FW168HS 24g は私もビックリしましたね。(実物を手にとって)ここにあるのが FW168HS のボイスコイルです。

(荒谷) FW168HS だけボイスコイルが大きいんでしたっけ?

(乙訓) 公称 50dia です。 FW168HR 35dia。前回お話したとおり W160A-HR 40diaです。数字は公称値なので実測値とは違っていて、35dia より 40dia は少し大きいだけですが、50dia はかなり大きいです。

(荒谷) このサイズの違いは Mms にかなり影響しますよね?

(乙訓) 径が大きくなることでボイスコイルの導線が長く巻かれることにもなります。FW168HS はボイスコイルの巻幅が 17.9 mmと非常に広いです。(資料-3)つまり大きい径のボビンに幅広く巻くことによって重くなるわけです。これを適正とするのか過剰とするのかは聴いてみてですね。FW168-HR は径も小さくて巻幅も小さい(13.3mm)ので軽く出るわけです。
BLを見て見てください。FW168HS BL(磁場の強さとVC長さの積)も高めです。磁束密度は低いんですが、巻幅が広いので BLは高くなります。

(荒谷) 当たり前ですけど、相関があるわけですね。イメージとしては BL が大きいと磁気回路が強力なんじゃないかとしか思いませんけど、必ずしもそれだけではなくて、巻線の量が多いとかそういうこともあるわけですね。パラメータの定義からして当たり前ですが。

 

資料-6

(乙訓) 玉置さん、これ(資料-6)について説明してもらえますか。

(玉置) 資料-6 の左上の二つのグラフは横軸が周波数、縦軸が振幅量です。先ほどご覧いただいた Klippel のレーザー測定器で測定したものです。グラフの上下中央より上がコイルが出る方向、下がコイルが入る方向の振幅の様子を表しています。

(乙訓) たくさん線があるのは、入力電圧を変化させているからです。

(玉置) 電圧を上げていくと上下中央(0)から徐々に離れていきます。資料-6 左側は 0.5V5V 10ステップで、その右は4V14V 10ステップで上げていったものです。

(荒谷) 低音だとたくさん動いていることがよくわかります。上下の振幅幅はぱっと見では大体同じくらいになっていますね。

(玉置) そうです。上下の振幅幅の違いをわかりやすくしたのがそれぞれの下のグラフ(資料-6 左下)です。ボイスコイルが出る方向と入る方向の差を表しています。

(乙訓) 資料-6 FW168HS のものです。 

 

資料-7

(乙訓) 資料-7 の FW168HR は下側が多めに動いています。低域の信号が入った時に、(FW168HS よりも)下に入りやすくなっているように見えます。

(荒谷) なるほどこのような動きも見ているわけですね。

(乙訓) 資料-7 の右のグラフは振幅しやすい特定の周波数における挙動を縦軸を振幅幅、横軸を電圧にとって表したものです。ここまでくると個別に見るよりも重ねて見たほうが面白いです。

 

資料-8

 

資料-9

(乙訓) こちら(資料-9)が 資料-7 の右側のグラフを3モデル分重ねたものです。周波数は 30Hz に固定して比較しています。青い線が今回開発中の W160A-HR の振幅です。オレンジ色が FW168HR、赤が FW168HS です。これを見て一喜一憂するものでもありませんが、これだけ見ると W160A-HR は途中からサチっているように見えますね。

(荒谷) サチってますね。

(乙訓) このグラフだけをみて判断してはいけません。そもそも振幅が 11mm12mm では設計の限界に近いです。さらに、この時使用しているレーザーは微小信号に対する精度が高いものを使っています。振幅が 12mm を超えるとその精度が怪しくなります。この領域では大振幅用のレーザーに変えて測定しなくてはいけません。レーザーの得意な範囲を超えているということなんですね。このグラフだけ見ると W160A-HR はダメに見えますが、必ずしもそういうことではありません。

(荒谷) たしかに 13V 付近より上は不自然ですよね。

 

資料-3.1

(乙訓) 設計値を振り返ってみると(資料-3.1 W160A-HR のエッジの振幅は突っ張ったときで 12.5mm となっています。先ほどの数字は 12mmでした。そこまで動かすようには作っていませんから機械的な限界を超えています。これより先はエッジが伸びるということになります。(資料-9)の計測条件では正常な動作範囲を超えているわけです。正常な範囲内ではきれいに計測されていますから、問題ないことがわかります。

(玉置) 入力電圧もサチってとれていない部分については 12V を超えています。非常に大きな入力が入った時の動きということになります。

(乙訓) しかも 30Hz です。

 

資料-10

(乙訓) 次は(資料-10 Force Factor (BL) です。先ほどのパラメーター一覧(資料-5)でも見たように、一番高いのは FW168HS です。このグラフの横軸は左右中央より左がボイスコイルが入っていく方向の距離、右が出ていく方向への距離を表しています。磁気回路の中でコイルが動いて出たり入ったりすることで、磁気回路から外れていくわけです。磁気回路の中央にコイルがあることを表すグラフ上の中央付近では BL が強いわけですが、外れていくと当然 BL は下がっていきます。

(荒谷) 薄色の線は対称性を見ているわけですね?

(乙訓) 測定値をミラーにして表示したグラフです。重なっていれば完全に前後対称の動きということです。このグラフは磁気回路、ボイスコイル、ダンパー、エッジの全ての部品がついている状態の数値です。本当はダンパーだけの純粋な状態を知りたくて計測したのですが、成功していません。

 

資料-11

(乙訓) こちら(資料-11)の右側はスティフネスのグラフです。先ほどの T/Sパラメータでは Cms として表記されますが、Kms はその逆数で「動きにくさ」ということになります。FW168HS は振幅すると動きにくくなるということを示しています。

 

資料-12

 

(乙訓) こちら(資料-12)の右側のグラフ (FW168HR Kms) で注目すべきなのはグラフ中央付近の平坦な部分の幅です。中央から変異が小さいまま左右に伸びています。初動付近(小振幅)のところでは動き易いけれども振幅が大きくなるにしたがって一気にスーっと動きにくくなっていきます。

(荒谷) この違いはどこからきているのでしょうか? 形状ですか? タンジェンシャルエッジとか、ダンパーですか?

(乙訓) それを測定で明らかにするためにダンパーだけで測定してみたいですね。これはエッジもダンパーもついている状態なので何がどの程度影響しているのか、はっきりとは言い切れません。「ダンパーの影響なのではないか? そんな気がする。」というところでしょうか。その点は次回以降明らかにしたいです。

(荒谷) タンジェンシャルダンパーなのはこの3モデルの中では FW168HR だけですから「おそらくそうなのではないか」ということですね?

(玉置) 今回測定した3モデルの中では FW168HS だけがロールエッジです。FW168HR W160A-HR はどちらもUDRタンジェンシャルエッジなので、この2機種だけを比較すると、ダンパーの形状がUDRタンジェンシャルダンパー(FW168HR)なのか、コルゲーションダンパー(W160A-HR)なのかという違いだけになります。ですからダンパーの違いが Kms の測定値の違いになっているのではないかと予想しています。

(乙訓) 予測はそうです。ただ次のグラフを見ると

 

資料-13

(乙訓) 資料-13  W160A-HR の測定値です。この右側の Kms のグラフ。スピーカーをずっと作っていますがこのようなカーブは見たことありません。教科書に掲載されている「理想のスピーカー」のようなカーブになっています。振幅しても動きやすさがずっと保持されることを表しています。それぞれのモデルの Kms の計測結果を重ねると次(資料-14)のようになります。

資料-14

(荒谷) これはすごいですね。縦軸のスケールが揃うと W160A-HR の平坦さが際立ちます。

(お客様) ギャザードダンパーはどうなのでしょう?

(乙訓) ギャザードダンパー、ギャザードエッジもきっとこうだと思います。

(お客様) 使わないのですか?

(乙訓) …… (笑)…..

(荒谷) 終わりなんですか?

(乙訓) 以前は権利の問題で使えなかったのですが、今は使えるはずです。形状はいいですね。振幅が折り曲げられることによって吸収されます。折り曲げの形状になっているので、折り曲げて上手く動く材質はどのような材質か、その材質からのどのような音が出てくるのか、それを考えるとすごく中高域が増えそうです。

(荒谷) そこだけ見ていてはダメということなんですね。

(乙訓) そこ(動きやすさ)だけをみればすごくいいですね。そうすると、W160A-HR もそうなんですが、制動が効かずによく動き過ぎてしまいます。ですから W160A-HR もここから調整が必要です。激しい音が入ると異音が出てしまいます。調整は動きやすさの確保と異音が出ないようにすること、そこのせめぎ合いになります。「どんなソフトの信号でも大丈夫」という状態にするとつまらない音になってしまいます。「通常の範囲では変な音を出さない」という状態にしなければなりません。

 

資料 -15

(乙訓) 次はフォスター電機の2つある無響室のうちの一つ、空間(全部の面が吸音になっている部屋)です。資料-15 の中央に写っているのが JIS 箱です。通常は JIS 箱にサブバッフルを取り付けて計測します。右側の写真が取り付け方です。

(荒谷) 取り付けは普通にフレームをネジ止めしているわけではないんですね?

(乙訓) ネジにすると時間がかかってしまうので。

(荒谷) 後ろから押さえるわけですね。

(乙訓) フェライトの場合は真ん中に穴が空いていることがあるのでその場合は写真右上のような形状のもので押さえます。

(荒谷) なるほど。

(乙訓) W160A-HR はギリギリ取り付けられました。あまり想定されていない(奥行き)サイズなので。(笑)

 

資料-16

(乙訓) こちら(資料-16)がそれで測定した F特性です。3本重なっていますので直感的にわかりづらいと思いますが。見たときに「なんだこの(6kHz付近の)ピークは」と思ったので先に言いますと、これは今後の課題です。HRコーンで剛性を上げて、共振を分散していると言っているわりにはピークが出てしまっていると。これはなぜこうなっているのか、どこから出ているのかということを今後解析します。6kHz にあんなにピークが出ていることは聴いていてもあまりわからないです。聴いた後に測定して「あれ?」という感じでした。2way の箱(当然ネットワーク付き)に入れて聴いた後に測定をしたら出てました。これには必ず原因があります。レーザーを照射して振幅を拡大して観測する機械を使って原因を解析します。FW168HS は普通のカーブドコーン。 FW168HR HR形状で共振が出にくいといても出てはいるわけです。ただ、出たピークの質そのものはそんなに悪くありません。高い周波数でどのような現象が起きているのかということは確かめていきたいですね。

(お客様) 一般論としては一つのピークに対して一つの原因があるということなんですか?

(乙訓) 干渉によって出ているということもあります。1箇所が鳴いているから出るということもありますし、複数の要因が合わさって出ることもあります。反対に、打ち消しあっているということもあります。

資料-17

(荒谷) これインピーダンスですよね? FW168HS ピーク 190Ω

(乙訓) こういう特性なんですよね。

(荒谷) W160A-HR も今 Fs 30Hz 代ですけれどもこれで決まったわけではないですもんね?

(乙訓) 低めのままいけたらいきますね。それぞれ銅キャップがついているので、高域にかけてのインピーダンスの上昇は抑えられています。
さて、ひと通り説明してきましたのでそれぞれ聴いてみましょう。

 


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