今更… 今だから?のスピーカーマトリックス

 古き良き時代のサラウンド再生、「スピーカーマトリックス」。2ch の音源を元にフロント L/R を再生。サラウンドプロセッサの類はいっさい使わずにリアL は L-R、リア R は R-L の差信号をアンプとスピーカーの接続だけで作り出す。

 なお使用するアンプがバランス出力、BTL出力だったりするとこの接続では破損してしまう。またメーカーに問い合わせても基本的な接続から逸脱しているので、大丈夫なモデルでも「大丈夫です」とはなかなか言ってもらえない。

 私も20年くらい前まではメインシステムに加えて、常時マトリックスのリアスピーカーを鳴らしていた。フロントは Fostex FE168Σ、リアは FE83 を2個並列接続して角柱型のエンクロージャーの2面にユニットを取り付けた。リア側が 2個だと広がり感を演出できるだけでなく、並列接続か直列接続かで効果を調整できるという利点もあった。

 さて今回はふとした思い付きからフロントの FE108NS のバックロードホーンにリアを加えて聴いてみようと考えた。最初に組み合わせたのは同じ FE108系統のスピーカー。スーパースワンのネック部だけをセットした。

フロントは FE108NS のバックロードを使用

早速鳴らしてみたところ、リアスピーカーの方がリスニングポジションに近いこともあって音圧が高過ぎる。もう少し音圧の低いものをと、今度は FF85WK のバスレフをセット。フロントが FE なのでリアも FE の方が良いのだろうが、すぐに聴いてみたかったため目の前にあったこれをセット。

リアにセットしたFF85WK のバスレフ

 今度は音圧のバランス良好。音場感が一気に広がる。一方フロントの音像は若干にじむ。これはある程度仕方のないことなのかもしれないが、ポン置きでこれなので、システムをしっかり吟味して、時間をかけて調整すればこうした副作用を抑えつつ、サラウンドならではの効果だけを享受することができるかもしれない。

 最近は Apple Music でもドルビーアトモスによる「空間オーディオ」が聴けるようになった。フロント LR 以外のチャンネルがサブスクリプションのストリーミングサービスでさえも聴くことができる時代だ。そのような中にあってこのような古典的テクニックに今更感はある。しかし LR 以外のスピーカーを設置するきっかけとしては面白いし、接続だけで信号を作り出すこの方式はシンプルなだけに信号の鮮度も高い。(単純な差信号なので信号そのものの中身は高度ではないが…)環境が揃っている人は試してみるのも面白い。

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