TH900mk2 Sapphire Blue を聴く

FOSTEX のフラッグシップヘッドホンとして人気だった TH900 。ケーブル着脱式としてリフレッシュされた TH900mk2。初代 TH900 が発売5周年を迎えて発売されるのがこの TH900mk2 Sapphire Blue だ。TH900 の美しい漆塗り仕上げの赤いハウジングから一見して異なる青い(サファイブルー!)外観は、否が応でも期待感を高める。

このモデルは単なる色違いではない。バイオダイナ振動板を搭載した 1.5テスラの50mmドライバーや坂本乙造商店による漆塗りハウジングはそのままに、新たなサウンドチューニングが施されているとのこと。

T900 から TH900mk2 が生まれたときはケーブル接続部の変更だけだった。個体差なのか仕様差なのか判断が難しい程度の違いであったが、今回は明らかに意図した上でのサウンドチューニングである。その違いを実際に聴いて確認した。

試聴は FOSTEX HP-V8 と 同 HP-A8mk2 の2モデルで行った。

まずは既存モデルの TH900mk2(赤)から。中高域の解像感はこのシリーズに共通。たっぷりとした低音は決して野放図に鳴ることはなく適度な量感。音楽をゆったり、かつ適度なメリハリを持って聴かせてくれる。対して TH900mk2(SB) の低音はもう少しタイトな印象だ。ジャズベースなどの音階の刻みはより明瞭。一聴してわかる違いは主にこの低音域の表現の違いであろうか。もちろん低音が違えば中高域の印象も異なってくるが、もっともわかりやすいのはここだ。

とても感覚的な話ではあるが、TH900mk2(赤/レギュラーモデル)と TH900mk2(SB) を比較すると、ハウジングカラーにイメージが重なる。赤は(どちらかと言えば)ウォーム、青は(どちらかと言えば)クールというイメージだ。ただ、ウォーム/クールといってもそれはこの2つのモデルを比較した場合の話。あくまでもオリジナルの TH900 の全体的な音調を前提としてである。

TH900mk2(SB) は、TH900 の5周年を飾るのにふさわしい、フォステクスらしい方向性のチューニングが施されたモデルと言える。

TH900mk2 は数量限定、 FOSTEX Online Shop での限定販売予定だが、FOSTEXショールームではすでに試聴することができる。もちろん TH900mk2 との比較試聴も可能だ。ご自身のヘッドホンやプレーヤーなどを持ち込んでの試聴もOK。Online Shop リニューアルと同時に限定発売がスタートした TE100R, TE200 も合わせてぜひ体験して頂きたい。