素敵な空間の決め手|無意識を刺激するカフェのサウンドデザイン

お店に入ると「音」が気になる

音のことなんてあまり気にしてなさそうな、価格重視のチェーン店であればそこまで気にすることはありません。ただ、「居心地の良さ」や「店内の雰囲気」を大切にしているような、おしゃれなお店では気になってしまいます。

お店の内装にはとてもこだわりがあるように感じられるのに、鳴っているBGMの音がイマイチ…。そんなときは、とても残念に感じます。自分の商売云々ではなく、本当に心から勿体無いと。
中にはそれなりの価格、あるいはそれなりのブランドのスピーカーが天井から吊り下げられていたり、埋め込まれていたりしていることもあります。そんな風に、少しは音についても気にした形跡があるにもかかわらず、パフォーマンスが伴っていないときは、さらに残念な気持ちが増してしまいます。

素敵な空間を構成する要素

カフェには店内の雰囲気も含め、トータルで楽しむ要素もあると思います。コーヒーを楽しむだけではなく、店内の雰囲気や居心地の良さも含めてトータルで….というコンセプト。そんなコンセプトだと思われるカフェのBGMがその雰囲気に合っていないことがあるんです。流れている音楽がマッチしていないのはお好みだから仕方ない面があるとして、音のクオリティと内装のクオリティがアンバランスなときは、本当にがっかりしてしまいます。惜しい!

音に関しては敏感な人もいればそうでない人もいます。単にオーナーさんがあまり意識していないということなのでしょう。こんな文章を読んで(そうそう読んでいなそうですが)、ちょっとでも身に覚えのあるオーナーさんは、今流れているBGMがお店に合っているのか?(選曲面、音質面)という意識で聴いてみてほしいです。自分でわからない場合は、第三者の意見を聞いてみると良いと思います。

建築デザインやインテリアデザインの専門家のことは、店舗設計をする時に必要な存在として真っ先に意識します。意識しようとしまいと、店舗を作ろうと思ったら有無を言わさず必要になるでしょう。
一方、サウンドデザインについてはどうでしょう? 専門家が必要だと、一度でも頭をよぎったでしょうか? そもそも「サウンドデザイン」そのもすら意識していないのではないでしょうか。いつもお店を作っているのだから分かるだろうと、建築やインテリアのデザイナーに任せておけば安心なのでしょうか?

私の体験からすると、そんなことはありません。

人々が集まる空間、その空間を構成する要素には様々なものがあります。カフェであれば提供されるコーヒーや軽食類はもちろん、居住性やデザイン性も。加えて、流れているBGMだって空間を構成する大切な要素の一つなのです。それぞれの要素ごとに、それぞれの専門家が知恵を出し合い、全てがバランスすることではじめて、空間としての価値が高まるのではないかと思います。

無意識に働きかける「音」

「うちはミュージックカフェではないから… 」確かにそうかもしれません。ミュージックカフェであれば、利用者は意識的に音楽を聴いていますが、普通のカフェではそうではありません。
しかし、空間における「音」は利用者の無意識な感覚や行動にも影響を与えることを知ってほしいと思います。無意識の心地良さは、無意識のうちに、そのお店に足を向けるきっかけになるかもしれないのです。なんとなく良い雰囲気のお店、その「なんとなく」の中に、無意識に感じていた「音」が含まれているかもしれないことを軽視しないでください。これはアンケートなどではわかりません。なんせ無意識ですから。気が付いている人もたくさんいるはずですが。

専門家に相談だ!

オーナーさんがこの事実に共感したとして、誰に相談すればよいでしょうか?

まずは建築設計をお願いしている(あるいはお願いした)建築士さんでしょうか。その結果が有名ブランドやちょっとお高いスピーカーだったのかもしれません。建築士さんは長年の経験から言うでしょう。「〇〇でも十分ですよ」、あるいは「せっかくの雰囲気にマッチするスピーカーはありませんよ」と。

そんなやりとりを経たんじゃないかと思われるカフェのサウンドが残念だった例を、私はいくつも見てきました。つまりそれは、「〇〇で十分」という誤った判断を下してしまう建築士さんが結構多いということなのではないでしょうか。そして「雰囲気にマッチするスピーカーがない」なんて言葉は、クリエイティブな職業の方からは聞きたくない言葉です。ないものは? そう、作れば良いのです。

オーナーさんはお願いしてみてください。「雰囲気にマッチするものを作ってください」と。

もちろん予算のご都合もあるでしょうから、誰にでも勧められるものではありませんが、「スピーカーは作れる」という発想をオーナーの方にも建築士の方にも持っていただきたいです。デザインだって、(オーディオ的にガッツリこだわるのでないのであれば)建築士さんができると思います。音響的なエンジニアリングの部分だけを、専門家に相談すれば良いのです。必要であれば、設置方法なんかについても、できる範囲で。

私たちエクスペリエンス・スピーカー・ファクトリーは建築事務所さんからのご相談を受けることがあります。多くの場合、外観デザインはすでに出来上がっていて、デザイン面と音響面の妥協点を探るところから打ち合わせが始まります。そして、多くの建築事務所さん、そしてそのお客様(カフェやサロンの皆さん)にご満足いただいています。

建築事務所さんからのお仕事の場合は、我が社で製作することは少なく、その建築事務所さんが普段お使いの木工屋さんや建具屋さんに作ってもらっているようです。スピーカーについては通常の造作物とは異なる注意すべき点もありますので、できれば、当社が作るのが良いですが、コスト的には他の造作物と一緒にお願いした方が良いと思います。(もちろん注意点はお伝えしています)

気になるカフェのオーナーさんや建築士さんは一度エクスペリエンス・スピーカー・ファクトリーまでご相談ください。現場に応じて色々なソリューションを提供します。