T360FDとT96A-SAをCXとCSで比較試聴する(FE108SS-HPに添えて)

Salvatore Accardo によるPaganini。どこまでも美しいバイオリンをスピーカーでどのように再生するか。
FE108SS-HPのバックロードホーン(Tundra Swan)にアドオンツィーターを加え、ツィーターやコンデンサを交換するなどして簡易的に試聴してみました。

FE108SS-HP + T360FD(CS1.0)

まずはフルレンジのFE108SS-HPのバックロードにツィーターのT360FDをCS1.0(1.0μF)でアドオン。T360FDの特長でもある広い音場感、その場の空気がそのまま再現されたような美しいバイオリン。目の前で演奏しているように、弓が弦を滑る音が精緻に描かれます。

FE108SS-HP + T360FD(CX 1.0)

次にT360FDはそのままにコンデンサを新登場のCX 1.0(1.0μF)に交換。

バイオリンの音は少し丸みを帯び、CS1.0の時よりもわずかに距離感が感じられるように。距離感としてはこちらの方が自然かもしれません。T360FDの音場感と空気感の再現性はそのままに、響きは柔らかで滑らかに変化します。CS1.0が挑戦してくるような音だとすれば、CX1.0は包み込んでくるような優しい音と言えるでしょうか。

Fostex CX 0.22 と CX 1.0

FE108SS-HP + T96A-SA(CX 0.22)

最後に、ツィーターをT96A-SAに交換。コンデンサはCX 0.22(0.22μF)とします。

ホーンツィーターらしい浸透力のある音で、音場は広さ方向よりも前に出てくる感じです。一つ一つの音を細かく描写するところはアドオンツィーターに共通の特徴といえますが、描き方の方向性がT360FDとは違います。

FE108-SolやFE108NSといったフルレンジには、こちらのツィーターの方が合いそうです。残念ながらT96A-SAは限定品ですが、レギュラーモデルのT90Aも大まかな方向性はこのようなイメージです。(コンデンサの値は変える必要があります)

まとめ

ツィーターもコンデンサもそれぞれに特徴があり、どれも魅力がありますが、現時点での個人的な好みはT360FDとCXの組み合わせでしょうか。

FE108SS-HPの高域の感じとCXの醸し出す雰囲気はよく合っている印象で、そこにT360FDの音場感と空気感が加わることでFE108SS-HPの品の良さがより増してくるように感じます。

フォステクスのフルレンジにはホーンツィーターを加えるのが定石ですが、T360FDはこれまでとは違うFEの楽しみ方を与えてくれるような気がしています。弊社オンラインストアでも販売中ですので、お手元に1ペアいかがでしょうか。