Fostex AP25 でフルレンジ+ホーンツィーターをデュアルモノで鳴らそう

先日 Facebook で簡単にご紹介した Fostex のアンプ「AP25」。パーソナルアンプ、APシリーズの最上位モデルとして登場した小さなアンプである。APシリーズは AP05mk2, AP15mk2, AP20d, 今回の AP25 の4モデルで構成されている。型番の数字の部分は出力の数値(w)を表している。AP05mk2 のみがアナログアンプで、その他のモデルはデジタルアンプだ。出力の値が細かく刻まれているが、それ以外にそれぞれのモデルにはどのような特徴があるのだろうか。まずはざっくりご紹介しよう。

AP05mk2

AP05mk2 はシリーズの中では最も安価。「まずは手軽にスピーカーを鳴らしたい」というユーザー向け。入力端子は前面に 3.5mm ステレオミニジャックが1系統。RCAで出力するモデルは変換して入力する。

オートスタンバイ機能付きで、しばらく入力を検知しないと自動的にスタンバイ状態になる。(スタンバイまでの時間は 1分または12分で切り替え可能)このシリーズには全て付いている機能だ。スマートスピーカーと接続すると、入力があったタイミングで素早く立ち上がるので意外に便利に使える。

AP15mk2

最もコスパが高いモデルと言えるのが AP15mk2 だ。上位の AP20d も良いのだが、AP15dmk2 は AP20d よりもゲインが高く、その点が何かと助かることがある。入力はフロントに3.5mm ステレオミニジャック、リアに RCA だ。2系統の入力を備えるがフロントにプラグを挿したときはそちらが優先される。スイッチなどでの切り替えは出来ないので常設機と接続できるのは1系統だけだ。

前述のとおりゲインが高く、低能率のスピーカーで大きめの音量が欲しい場合、AP20d よりもおすすめできる。

AP20d

AP25 が登場するまではシリーズ最上位モデルだった。入力は AP15mk2 と同じくフロントに3.5mm ステレオミニ、リアに RCAでフロント優先。プリアウトが付いている点は AP05mk2 や AP15mk2 とは大きく異なる注目ポイントだ。システムにサブウーハーを加えたい場合などには大変重宝する。音質的にもかなり良いモデルなのだが、下位モデルと同様、スピーカー出力端子がスプリング式なのが勿体無い。そのような声は多くのお客様から耳にした。

AP25

2022年5月発売の最新モデル。フロントの入力は省略され、入力はシンプルにリアの RCA1系統。プリアウトが付いている点は AP20d と同じで、発展性が高い。そして今回このモデルで最も特筆すべき点はよく見ると L の入力のところに「MONO」と表記がある点だ。実はこのモデル、INPUT の L側だけにプラグを挿した場合、その入力信号を L と R の両方に出力する。この機能があるおかげで、2台の AP25 を使用して「デュアルモノ」のアンプとして機能させることができる。

左上の INPUT L に「MONO」の文字

プリアンプや、例えば  FOSTEX PC100USB-HR2 などのボリューム付きの DAC などから出力されたステレオ信号のLチャンネルを一方の AP25 の INPUT L に入力(この AP25 を [AP25L]とする)、Rチャンネルをもう一方の AP25(この AP25 を [AP25R]とする) の INPUT L に入力する。[AP25L] のスピーカー出力からは OUTPUT L からも OUTPUT R からも Lチャンネルの信号が出力される。たとえば、この信号の一方を Lチャンネルのフルレンジに、もう一方をLチャンネルのホーンツィーターに入力することで、それぞれのユニットを別々のアンプでドライブすることができる。 [AP25R] も同様に接続すると、L/R のスピーカーはそれぞれ別筐体のアンプでドライブされ、しかもそれぞれのユニットも個別に与えられた別のチャンネルでドライブされることになる。

デュアルモノはフルレンジ+ホーンツィーターで

もちろんウーハーとツィーターを組み合わせた通常の 2-way システムで使用しても問題ないわけだが、この簡易アンプだからこそシンプルなフルレンジ+スーパーツィーターで試してみて欲しい。通常このようなマニアックな方法でドライブするには非常に高額なパワーアンプが必要だが AP25 の2台使いでは一桁万円(PC100USB-HR2 を加えてもまだ一桁万円)で実現できてしまう。

この AP25 は普通のプリメインアンプとしての能力も高い。入力1系統、ボリューム、プリアウト、スピーカー出力というごくシンプルな構成なのも魅力だ。(使い勝手の面では難もあるが…)

また、これまでの AP シリーズにはなかった「ちゃんとした」スピーカーターミナルが付いているのも良い。「音は良いらしいが、出力端子が…」 という理由でこれまでのモデルを敬遠していた方も多いと思われる。そのような意味からもこの AP25 はナイスなモデルなのだ。

AP25にしてようやくバナナプラグ対応ターミナルに

ちょっとの投資でデュアルモノ。フルレンジ+ホーンツィーターをプリメインで鳴らしている方はぜひともこのモデルを試してみて欲しい。サブアンプとしても導入しやすい、2台で7万円未満のモデルである。(それでいてシリーズの「フラッグシップ」という点も気分的には良い)

なおデュアルモノで使うにはプリ部(ボリュームコントロール部)が必要だ。複数の入力とセレクターを備えたボリューム付きの DAC があれば代わりに使える。PC100USB-HR2 はUSB出力のソースのみという方には良いが、CD も聴くという場合には使えない。AP25 を3台という使い方も不可能ではないが、無駄が多い。具体的な構成のアドバイスが欲しいという方はぜひ相談して欲しい。