よくあるご注文

「なんでも出来ます」という売り方はお客様にとってはむしろ難しく、ある程度は基本的なコンセプトが固まっていてそこから何かを足したり引いたりする方がわかりやすいようです。弊社にスピーカーをご注文されるお客様も私に全て「丸投げ」というパターンは少数。そこでみなさまのご注文のきっかけになるように、弊社にご注文をいただくパターンをご紹介したいと思います。

キットが思っていた音と違う

市場にはたくさんのスピーカーボックス “キット” が存在します。キットを設計された方ももちろん特定のユニットを用いて試行錯誤されています。ですからそんなに変な音にはならないはずなのですが「結果が思わしくない」というご相談を数多くいただきます。これにはいくつかの要因が考えられます。

  • そもそも想定されているスピーカーユニットを使っていない
  • 内部の調整がキット設計者の意図と違う
  • 使用環境が特殊
  • 求めている方向性が大きく異なる

以上のような場合に満足しない要因をキットそのものの質に求めてしまうのは設計された方に非常に酷ではあるのですが、多くのユーザーさんは割とそういうスタンスで相談して来られます。多くのネット通販で販売されているキット屋さんたちに対して私が持っている最大のアドバンテージは、お客様と同じ時間と場所を共有して同じ音を聴き、その場で意見を共有できることです。これで上記の不満の要因は概ね理解することができます。完成したキットをお持ち込み(あるいは訪問試聴させて)頂ければ、不満の要因となっていると思われる部分を改善し、満足していただくことが可能になります。(ユニットの選択に大きな誤解がある場合など、根本的に難しいこともあります)

そうした流れから「キットでこんないい音になるなら、もっといい外観で作ってもらいたい」ということになってご注文に至る。このようなケースがあります。前述のような過程を経ていますのでお客様のご要望の路線は私も理解しています。もともとのキットの状態にさらに(そのお客様にとっての)改善の要素を盛り込んで設計し、製作します。結果、そのお客様のお好みの音質でさらに外観も美しいスピーカーが出来上がります。

今でも多い “長岡式” ベース

今でも多いのが、長岡鉄男氏の設計されたものをベースにお考えの方です。すでに没後20年以上経過していますので、そのまま使用できるスピーカーユニットは多くありません。お客様によっては設計コンセプトを完全に逸脱したユニット選択となっている場合もあります。現在使用できるユニットはどれなのか、その場合オリジナルの設計にどのような変更を加えるべきなのかについてアドバイスさせて頂いています。

しかしそうは言っても、あの長岡鉄男の設計です。私ごときが手を加えるのもおこがましいという気持ちは当然あります。ユーザーの方も、オリジナルのまま作ることに価値を感じている方もいらっしゃいますので、無理に私の色を押し付けるようなことはいたしません。できる限りお客様のお気持ちを慮りながら、適切な範囲でのアドバイスをさせていただいています。

また、20年前のアマチュアには出来なかったシミュレーションや、設計のアプローチ手法が現在ではごく一般的になってきています。そうしたアプローチを試みることによって、オリジナル設計本来のコンセプトを保ったまま、現代的な要素を取り込んでいくことも可能です。ただ困るのは、オリジナルの設計には多分に「マジカル」な要素があることです。理論的にアプローチしたものが、「経験と勘」に頼ったものに、パフォーマンス(この場合はあくまで聴感上の)で劣っていると感じることもままあるのです。そこはもう取捨選択。両者を融合させて、オリジナル設計に敬意を評しつつ、またコンセプトを保ちながら、現代的な要素を可能な範囲で取り込んでいくということになります。

外観のクオリティーを重視される方には外観デザインから製作まで担当させていただきます。このようにしてハイクオリティーな現代版 長岡スピーカーを生み出しています。

お客様からのリクエストにより長岡式 F-111 クレーン を FE88-Sol 用に設計変更。
本来リア用だがメインでも十分なパフォーマンスを見せる。