デッドストックは変化していきます
「購入したまま眠っていたスピーカーユニットを活用してスピーカーを作りたい」そんなご相談をお受けします。過去に限定発売された Fostex の FE208ES, FE208ES-R などは特に人気の高いユニットでした。発売後すぐに売り切れてしまうこともあって、とりあえず購入したもののそのまま使わずに保管。20cm のバックロード専用ユニットなので箱作りも大変。そしてそのまま熟成。十数年経って取り組むための時間ができたものの、市場に対応するエンクロージャーは無く、情報も少ない…
エクスペリエンス・スピーカー・ファクトリーではそのような過去のモデルも含めそれぞれのスピーカーユニットやお客様のお好みに合わせたエンクロージャーを設計・制作しています。特に古いモデルは発売当初の性能を維持していることは少ないため、個々に測定を行いそれぞれの個体に合わせて設計しています。今後新製品に交換しても違和感がないように極端にその個体に合わせ過ぎないように配慮することも必要に応じて行っています。せっかくのユニット。是非有効活用してください。
長岡式オリジナルにこだわりたい方も
20cm フルレンジを横に並べたスタイルのバックロードホーンはかつて長岡鉄男氏によって設計された D-7 シリーズや D-77 などが有名です。設計値がそのままにでも実用になるユニットはありますので、ユニットとの相性を検討した上でこれらを制作するのも一つの選択肢です。ただ D-7 シリーズは斜めカットやその接合が難しく、複雑な形状のパーツもあるため少しハードルは高いかもしれません。また何よりこれらは巨大です。「それでもオリジナルにこだわりたい」 というときこそ私たちの出番です。複雑な形状でも正確に切り出し、美しく制作することが可能です。
長岡式からの発展→ユーザー自身のオリジナルへ
D-7 シリーズや D-77 などの20cmフルレンジ2発横並びには少し気になる点もあります。スピーカーから比較的近い距離で聴くと、頭を少しでも動かすと定位が大きく崩れてしまうのです。それこそ数cm頭がブレるだけでも「グニャ!」となってしまいます。(ある程度距離をとるか左右の間隔を広げ過ぎなければこうした問題は起こりにくいと思います)一方「2発」でしか味わえない音があるのも事実。そこでこのような問題点を避けつつも、2発の迫力を求めるために「縦に2発」のモデルを設計しました。間も無く完成する本機では横2発の問題をある程度解決しながらも、2発ならではの迫力が得られることが期待されます。
このようにお客様のご要望に沿って様々なアドバイスをしながら、お客様ご自身のオリジナルを制作するお手伝いもしています。
外観にこだわりたい方も
組み立ての難しさはもちろん、巨大になりがちなバックロードは外観も考慮しなければなりません。大きければそれだけ室内での存在感も大きくなります。できれば見た目にもこだわってご検討頂けますと制作側としても気合が入ります。
赤と黒のツートンカラーが印象的なこれらのバックロードホーンは Fostex FE208ES-R 向けに設計・制作したものです。古いユニットですから、それぞれの個体を測定しその結果を踏まえて、その個体を使用しても最新モデルに交換しても対応するよう配慮した設計を行いました。中央の小型のモデルはお客様が制作されたものをメインと同じ仕上げに。塗装のみを承りました。実はお客様のご自宅にはこれ以外にも同じカラーの小型スピーカーが多数。なんと14.2chのサラウンドシステムが構築されています。
もともと BABYMETAL を気持ちよく再生することが重要な目的の一つでしたので、映像作品やいくつかの楽曲色々と聴かせていただきました。スピーカーのカラーも実は彼女たちの衣装に合わせたものです。また JAZZ ボーカルやモダンジャズ(マイルスなど)私が普段からよく聴いているジャンルの楽曲もお聴きになるということでしたので、データやアナログでいくつかを聴かせていただきました。どれもバランスよく鳴っており、ご満足頂けているようでそこはひと安心でした。
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