私のように数十年間、「オーディオ」に浸かってしまっていると、世間の人たちがどんな風に音楽と接しているのかが分かりにくくなってしまいます。「いい音」の基準や概念も、いわゆる「オーディオマニア」とそうでない人たちの間では大きく違っています。いわゆる「マニア」の人たちが小さな音の変化を見出して楽しんでいるのに対し、そうではない人たちは漠然と「良いね!」と音楽を聴くことを楽しんでいるわけです。どちらが良いかとう話ではなく、それぞれ別の楽しみ方で、私自身、どちらの面も持ち合わせています。
そんな私でもわかる世の中の流れ。イヤホンで聴くのではなく、スピーカーでは聴きたいけれども、より便利に、カジュアルに、という層のニーズ捉えて、私たちの生活にすっかり溶け込んだのが Bluetoothスピーカーです。スマートフォンひとつで手軽に音楽を再生できる利便性は、まさに現代のライフスタイルにぴったり。カフェやショップ、友人宅でも、ワイヤレスで心地よい音楽が流れているのを目にする機会も増えたのではないでしょうか? 我が家でさえも、何台かのBluetoothスピーカーが稼働しているのです。
なんといっても手軽に再生できることが魅力おんBluetoothスピーカー。しかし、「手軽さ」だけで満足していますか? 「もっと良い音で聴きたい」「もっと部屋の雰囲気に合ったスピーカーが欲しい」と感じたことはありませんか?
今回は、Bluetoothの利便性を享受しつつ、さらに一歩進んで「あなただけのこだわりの音」を実現する方法に焦点を当てます。手軽なポータブルタイプのスピーカーから一歩踏み出し、愛着の湧くスピーカーで、ワイヤレスの自由と上質なサウンドを両立させる方法をご提案します。

Bluetoothスピーカーの「本質的な魅力」を再確認する
Bluetoothスピーカーの最大の魅力は、やはり「ワイヤレスであること」と「普段使いのスマートフォンから直接再生できること」ではないでしょうか? オーディオ界にどっぷり浸かった私の意見なのでもしかしたら違う視点もあるのかもしれませんが、ひとまずそう言い切らせてください。
魅力1:ケーブルフリーがもたらす圧倒的な「自由」
電源ケーブルや音声ケーブルに縛られないワイヤレスの自由さは、想像以上に快適です。特にバッテリー内蔵型であれば、文字通り完全なワイヤレスを実現できます。
- リビングでくつろぎながら、キッチンでの作業中も同じ音楽を途切れさせずに楽しめる。
- 休日の朝、ベッドサイドで目覚めのプレイリストを流し、そのままベランダへ持ち出して心地よい日差しの中で続きを聴く。
このように、スピーカーを家の中で頻繁に移動させて使いたい方にとって、ワイヤレスであることは必須条件と言えます。いちいち配線を外したり、繋ぎ直したりする手間は、せっかくの音楽体験を損ねてしますし、現代においては現実的な方法とは言えません。

魅力2:スマートデバイスとのシームレスな連携
誰もが常に持ち歩いているスマートフォン。このスマートフォンが、Bluetoothスピーカーの「コントローラー」であり「音源」になるという手軽さは、現代の音楽鑑賞スタイルにおいて革命的です。(ちょっと前からですが)
- 通勤中にイヤホンで聴いていたPodcastやストリーミングサービスのお気に入りの曲を、帰宅後すぐに続きからスピーカーで再生できる。
- SpotifyやApple Musicで作り込んだプレイリスト、再生履歴、お気に入りの曲といったあなたの音楽に関するあらゆる情報がスマートフォンで一元管理できる。
「カジュアルに、しかし妥協なく音楽を楽しみたい」と考える方にとって、スマートフォンとの連携は非常に重要なメリットとなります。

「手軽さ」と「音へのこだわり」の共存:Bluetooth化で広がる選択肢
多くのポータブルBluetoothスピーカーは、一台で手軽に音楽を再生できるモノラル仕様が多いです。中には2台をペアリングしてステレオ再生に対応するモデルもありますが、それでも一体型や小型モデルでは、音の広がりや奥行きに限界を感じることがあるかもしれません。
「Bluetoothの手軽さは欲しいけど、もっと本格的なサウンドで音楽を楽しみたい」「市販のBluetoothスピーカーのデザインが、どうも部屋の雰囲気に合わない…」そう感じているあなたに、ぜひ知っていただきたい方法があります。それは、一般的な「普通のスピーカー」をBluetoothスピーカーとして活用するというアプローチです。

必要なのは「Bluetoothレシーバー内蔵アンプ」と「パッシブスピーカー」
この方法でBluetooth再生を実現するために必要なのは、主に以下の2つの機器です。
- Bluetoothレシーバー(受信機)とアンプ(増幅器)が一体になったモデル
- スマートフォンなどからBluetoothで送られてきたデジタル音楽信号を、スピーカーを駆動するための電力に変換してくれる機器です。コンパクトなものから、多機能なものまで様々なモデルがあります。
アンプの例(Nobsound NS-01G Pro, 2025年6月10日現在)
- アンプを搭載していない「パッシブスピーカー」
- 一般的にオーディオショップで「スピーカー」として売られている多くの製品がこれに該当します。アンプからの信号を受けて音を鳴らす仕組みで、アンプを内蔵している「アクティブスピーカー」とは区別されます。電源はついていません。位置付け的には「電球」と同じ感じです。
「好みのスピーカー」を選ぶ自由が手に入る
この組み合わせの最大の利点は、「スピーカーの選択肢が飛躍的に広がる」ことです。Bluetooth機能が最初から内蔵された一体型のスピーカーでは、その種類や音質、デザインに限界があることも少なくありません。
しかし、この方法であれば、数多存在するオーディオメーカーが長年培ってきた技術を結集したパッシブスピーカーの中から、あなたの部屋のインテリアに溶け込むデザイン、そしてあなたの耳が求める「最高の音」を奏でるスピーカーを、予算や好みに合わせて自由に選ぶことができるようになります。
例えば、
- 「あのメーカーの、あの独特な音色が好きだったんだ」という方
- 「このデザインのスピーカーが、どうしても部屋に置きたい」というこだわりを持つ方
- 「将来的にアンプをグレードアップして、さらに音質を追求したい」と考えている方
このようなニーズを持つ方々にとって、この「Bluetoothレシーバー内蔵アンプ+パッシブスピーカー」という組み合わせは、まさに理想的なソリューションと言えます。
もちろん、電源ケーブルやスピーカーケーブルの配線は必要になりますが、一度設置してしまえば、あとはスマートフォンからワイヤレスで、あなたのこだわりのスピーカーから音楽を再生するだけ。この手軽さと音質の両立は、これまでのBluetoothスピーカーの概念を覆す体験となるはずです。
さらにその先へ:究極の「こだわり」を形にする
もしあなたが、既製品のスピーカーでは満足できないほどの「こだわり」をお持ちであれば、「カスタムデザインのオーダースピーカー」という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか。「いきなり?」という感じもするかもしれませんが、このブログを書いているエクスペリエンス・スピーカー・ファクトリーはカスタムデザインのオーダースピーカーを専門とする会社なので、最終的にはそんな提案になってしまいます。
「オーダースピーカー」と聞くと、とてもハードルが高いように感じるかもしれません。しかし、例えば特定の木材を使ったエンクロージャー(スピーカーの箱)や、部屋のサイズや音響の状態に合わせて選択されたドライバーユニット、あるいはあなたのライフスタイルやインテリアに完全に合わせたデザインなど、既成概念に囚われない、まさに「あなただけのため」のスピーカーを創り出すことが可能です。
特定のアーティストをイメージしたデザインや音を実現することだって可能になります。そこにBluetoothレシーバー内蔵のアンプを組み合わせることで、世界に一つしかない「あなたのための音」を、ワイヤレスという手軽さで楽しむという、カジュアル&ハイクオリティな音楽体験が実現します。
予算や時間、そして音に対する深い探求心が必要となるアプローチですが、もしあなたが「本当に良い音を、本当に自分好みの形で楽しみたい」という情熱をお持ちなら、ぜひ一度、オーダースピーカーの世界を覗いてみてください。それは単なる「音を出す道具」ではなく、あなたの生活空間を豊かに彩る「アート作品」になるかもしれません。
弊社のお客様は「非公開」を望まれる個人の方や、そもそも「機密」なので公開できないというケースが多くなっています。
残念ながらあまり多くの例を公開することはできないのですが、かなり広い範囲のご要望にお応えすることが可能ですので、ぜひご相談ください!