FE103A / 鳴らして楽しんで

もう「やせ我慢」しない

Fostex から限定発売されたフォスター電機70周年記念モデルの FE103A。昔ながらの外観のアルニコ磁気回路を搭載した見た目も美しい話題のモデルです。

この FE103A。従来の FE103 の系譜のユニットとは少し具合が違います。従来のモデルは大型の箱に入れると、高域のパワーにバランスした低音にするのが難しいところがありました。中高域の鮮やかさに特筆すべき点はあるものの、バランス的には低音を「我慢」しなければならないような、ともすればストイックともいえる聴き方を強いる側面もあったように思います

一足先に世に出た FEシリーズの最新モデルである FE103NV ではそのような面はだいぶ後退。帯域のレンジ感も聴感上だいぶ広がったように聴こえます。(音圧特性はほとんど変わっていません)かといって従来の FE シリーズの特徴である中高域の綺麗さは失われていませんから、私自身このモデルチェンジはかなりの好感を持って捉えています。

いろいろな「箱」で楽しめる柔軟さ

さて FE103A。低域方向の違いはスペックを見れば明らかで、よりバスレフ向きな傾向に振られています。それは一聴して音に表れています。エンクロージャーを工夫することによって、ゆったり/たっぷりした豊かな低音を引き出すことが可能です。この場合にありがちなのが、低域とトレードオフするかたちで中高域がバランスせず、全体的に「もったり」とした音になるケースです。しかし FE103A はそうはなりません。意図したものなのか、高域にピークを持たせてあり、そこが幸いして「もったり」した感じが全体には及ばずに、豊かな低音とFEシリーズならではの中高音の絶妙なバランスが実現されているのです。

小型バスレフ、すこし大きめのバスレフ、トールボーイタイプの TQWT とダブルバスレフ。色々なエンクロージャーで聴いてみましたが。低音の量感は箱に比例して増していきつつも、中高域の良さはそれにスポイルされません。FE103En 用にチューニングした ダブルバスレフでは、低音のあまりの量感に思わず笑ってしまいました。このダブルバスレフ、FE103En ではバッフルステップ補正を強めに効かせないと全体のバランスを取ることが難しかったのですが、FE103A では逆に低音を減らす調整が必要になる程でした。

XP103TQWT(エクスペリエンス特注品)

飾らず、鳴らして…

本機を9月にショールームで公開した時は、TQWT 方式のエンクロージャーとの組み合わせが好評でした。TQWT のエンクロージャーで試聴して購入を決めた方もいらっしゃいます。中には仕上げをさらに高級にしてエンクロージャーごと注文されたお客様も。写真はお選び頂いた突板にウレタン塗装で仕上げた特注品です。納品の際には高級システムでボーカルものを中心にお聴かせ頂きました。広いリビングルームを音楽で満たすパワー。フルレンジならではの音場表現と声の鮮明さ。Blu-ray ソースを70インチクラスの大画面でライブ映像を視聴させて頂きましたが、画面サイズに全く遜色なく、会場全体のスケール感を表現できていたと思います。

こんな FE103A 。ペアで 70,000円(+税)と「ちょっと遊ぶ」には少し躊躇するお値段ですし、記念モデルということもあって「見て楽しむ」ための箱に入っていますが、ここは是非本格的に鳴らしてみてくださいね。

特注品では突板はサペリを選択。インテリアにもマッチし、ご満足頂けました。(写真は筆者宅です)