FOSTEX T60RP を聴いてみた

FOSTEX から 独自のRP振動板を搭載した最新モデル【T60RP】のリリースがアナウンスされた。モニターヘッドホンとして好評の T50RPmk3g をリスニング仕様に最適化したモデルとのこと。

本日当店にも試聴機が届いたので、早速聴いてみた。


FOSTEX T50RPmk3g (左) と 同T60RP(右)

ストレスのない装着感
まず装着感からして T50RPmk3g とは違う。イヤーパッドの厚みが T60RP の方が分厚いのがお分りいただけると思う。耳が収まる楕円形のイヤーパッド開口部の大きさも縦横ともに若干大きく開いており、装着した時に耳が自然に中に収まった。ここは個人差があるところなので、実際に装着してご確認頂きたいが、T50RPmk3g との比較という意味では明らかに耳へのストレスが少ない。
そのせいなのか、装着した瞬間、着け心地の良さだけでなく、「無音の時の音の良さ」をなぜか感じてしまった。スピーカーで聴くときは設置する部屋の音響性能が再生に大きく作用する。ヘッドホンのドライバーとそれを覆うイヤーパッド、そして装着した人間の耳とその周辺で形成される空間は、いわばスピーカー再生における部屋。リスニングルームに入った瞬間にその部屋の音の良さを感じるように、T60RP には着けた瞬間の音の良さがあった。

思わず後ろを振り返るリアリティ
再生された音は無音の時の心地良さそのままに、非常に素直で音場感の良いもの。オーケストラのホールの空間表現は秀逸。ジャズを聴いた時の楽器の配置やヴォーカルの立ち位置なども自然に表現してくれる。定番の Waltz For Debby は聴衆が発する食器の音やささやき声も聴きどころの一つだが、T60RP での試聴中には後ろから音がしたような錯覚に襲われ、何度か振り返ってしまった。

“パフォーマンス” そして “モノ” としての魅力
平面振動板と木製(アフリカンマホガニー使用)ハウジングのコンビネーションが繰り広げるこの表現は実に繊細で表現力に富んでいる。それでいてさらにこのモノとしての質感。T60RP はパフォーマンスの満足度の高さに加え、所有欲までも満たしてくれるなかなかの逸品だ。ぜひとも体験してみて頂きたい。


付属の3.5mm 3極アンバランスケーブル。この他に3種類のバランスケーブルがオプションとして発売される。


T50RPmk3g とは異なる位置に3.5mmの入力を装備。オプションケーブルでバランス出力にも対応する。