FOSTEX 6.5″ 2way Project Phase 1 (Project Launch) Text 4/5

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ツィーターの試聴(3モデル)

(荒谷)乙訓さんはユニットを作る過程で裸の状態で音質を確かめるとよくおっしゃっています。フルレンジとかウーハーであればわかるのですが、乙訓さんはツィーターでもやります。しかもスルーでやりますよね?

(乙訓)もともとフルレンジを作っていたので、ツィーターを作る時もその手法で作っています。もともと普通のツィーターのように振幅しないものを作るという概念がなく、振幅する構造で作ったので結果的にスルーでもある程度は聴けてしまうものができました。

(荒谷)乙訓さんが作ったツィーターはスルーでも聴けるということですね。当然すごい低音は出ないと思いますが、今日は3種類の25mm の純マグネシウムツィーターを用意しましたので聴いてみたいと思います。

1機種は先ほど聞いていただいた T250D, あとの二つはユニット単体では市販されていないものです。一つは GX250MG のツィーター、もう一つは G2000a のツィーターです。

(乙訓)振動板は同じですが、その他は一部同じところもありますが異なる仕様です。

【ご注意】ツィーターのスルーでの試聴は決して真似しないでください。破損のおそれがあります。今回は専門家監修のもとに行っています。

 

— T250D の試聴

♪ モナ・リザ / Vino Rosso / BASS & BASS

 

(乙訓)さすがにちょっと無理でしょうか?ではこちらの曲を

♪ Ready To Love / Tuck & Patti / Taking The Long Way Home

 

(乙訓)さすがに大人数だと満足な音量は無理ですが、近くで聴くとかなりの音質です。

(荒谷)混雑しないように譲り合いながら皆さん近くでも聴いてみてください。

 

— お客様にも近くで聴いていただく

 

(乙訓)振幅も見てみて下さい

(荒谷)横から見るとかなり振幅しているのがわかります。

(乙訓)ホーンツィーターは振幅する構造になっていませんからこの試聴はダメです。このツィーターは振幅する構造になっていますから大丈夫なわけです。ただ真似はしないでくださいね。

こちらは G2000a のツィーターを分解したものですが、こんなに振幅します。(動かしながら)

(荒谷)ツィーターの場合はボビンの長さとか重さはシビアに影響しますか?

(乙訓)短い中でのことなのでそこまででもないですね。0.1mm短くなったからといってそこまで影響があるかというとそうでもないです。質量よりも巻線がギャップの適正な位置におさまることの方が重要ですね。

これらのモデルは全て UDR タンジェンシャルエッジです。普通は布のロールエッジか平らなエッジですね。できるだけ振幅させないためのエッジです。

順序でいくと T250D が最初に開発されてそこから用途に合わせて仕様を変更しながら G2000 用、GX250 用が開発されていっています。

 

— GX250 用ツィーターの試聴

(乙訓)こちらの方が T250D よりもフルレンジ感が強いですね。

 

— G2000a 用ツィーターの試聴

(乙訓)どのツィーターもボイスコイルからの引き出し線はとても強いものを使っています。これも専用に作られたものです。

(荒谷)このツィターが一番振幅しているように見えますが?

(乙訓)まずこのツィーターは T250D とはボイスコイル径(線径)が違います。G2000a と GX250MG のツィーターは太いものを使っています。あとはアルニコの磁気回路になっていて内部のキャビティの作用が他の2機種とは違うのでその影響が出ているかもしれません。

(お客様)声の低いところが一番聞こえます。

(乙訓)一番フルレンジに近い鳴り方かもしれませんね。これならベース音も聴こえるかもしれませんね。聴いてみましょう。

♪ モナ・リザ / Vino Rosso / BASS & BASS

(荒谷)T250D よりも明らかに低音が出ています。

(乙訓)だから「いい」「悪い」ではないんですけどね。組み合わせるときにどうかということです。使わない低域を出しても仕方がないので。つまりは、組み合わせるウーハーをどうするかということなんですね。

横から見て振幅を確認。目視で十分確認できる振幅だ。

 

ツィーターはどんなウーハー(ミッドレンジ)とつなげるのかがポイント

(乙訓)ウーハーとツィーターとどっちを先に開発しますか ということに答えるとすれば「同時です」と言いたいですね。どちらかに合わせるというよりは同時にバランスさせながらやりたいです。

(荒谷)同じ 25mm 純マグネシウムダイアフラムのツィーターでもそれぞれ聴くと全然音が違いますね。まず仕様からして T250D はマグネット3枚、GX250MG のツィーターはマグネット2枚、G2000a のツィーターはアルニコですね?これは目的が違うので仕様の違いがあると思うのですがそれぞれの目的と違いを教えてください。

(乙訓)T250D は単品のツィーターとしての企画です。当時のコンセプトは「マグネシウムのダイアフラムを使ったすごいツィーター」というものでした。見た目にも立派な感じになるように設計してあります。単体で評価したときにいいツィーターだなと感じて頂けるようにすることも重視しています。

(荒谷)その時に組み合わせるウーハーはロクハンを想定していたのですか?

(乙訓)そうですね。続いて開発することになったのが G2000 です。すでに T250D があったのでそれをベースにして Hi-Fi 用のツィーターとして開発しました。これはウーハーではなく、ミッドレンジとつないで使うツィーターです。ミッドレンジの方がウーハーよりも音圧が高いので、その音圧に合うように作っています。先ほど聴いていただいて音が大きく聞こえるのはそのような背景もあります。ミッドにあうようにガツンと出る設計です。ですのでフルレンジのような音になっています。どれが優れているということではなく、16cmウーハーと組み合わせるもの、10cmミッドレンジと組み合わせるもの、13cmミッドレンジと組み合わせるもの、それぞれ異なる用途として開発されています。

(荒谷)つまり、下の帯域を受け持つユニットがどのようなユニットなのか。サイズや、ミッドかウーハーかといった役割、それぞれに合わせてツィーターも開発していくということですね。

(乙訓)そうです。

 

ツィーターフレームの材質

(荒谷)フレームの大きさも違っていますが、それはシステムとしての見た目のバランスも考慮されたと聞いています。

(乙訓)そうですね。

(荒谷)今回は2ウェイで、ウーハーもロクハンと決まっています。それを前提に考えると T250D がベースですか?

(乙訓)そうなる可能性が高いですが、ひととおり検討します。いくつかのバージョンを作って可能性を探ることになります。ボイスコイルの種類を何種類か作って検討するとか、そのようなことを行います。その検討過程が楽しそうならこの場でも聴いてもらおうと思います。

(荒谷)ツィーターの回のときは色々なバージョンが聴ければいいですね。今回は用途が異なるモデルの聴き比べなので違って当然と言えますので。

(乙訓)そうですね。どれが良いというわけではなく用途の違いです。

(荒谷)同じ用途を前提としてツィーターを聴いたときにバージョン違いでどうなるかということも聴けると良いですね。

ウーハーはアルニコとフェライトとどちらも作ってみてというお話でしたがツィーターはどうですか?

(乙訓)そこは G2000a のツィーターの方が評判も良いのでアルニコをベースに。あとでフェライトに変えることはできるので。

(荒谷)なるほど。それからフレームの材料に何を使うかという問題もありますね?GX250MG のツィーターはアルミの切削、G2000a のツィーターは亜鉛ダイカスト、T250D は少し変わっていて、何でしたっけ?

(乙訓)これは高比重樹脂です。ナイロンベースに金属が入っています。

(荒谷)これはちょとツィーターの回まで話題を引っ張ることになってしまって申し訳ないのですが、叩いたときの響きが全然ちがいますよね? アルミや亜鉛が余韻が長いのに対して高比重樹脂は「カツ!」という感じです。素人目だと余計な響きは無い方向の方が良さそうなのですがどうですか?

(乙訓)基本的には制振が重要で鳴かない方が良いと言われます。これは一部正しいですが、そうではない側面もあります。あまりにも響きが無ければればつまらない音になります。一番大切なのは響きが揃っていることですね。出た音が響いて余韻が徐々に消えていく。これが全帯域で揃っているということが大切だと思います。どこかだけ残ってしまうのもダメですし、全部消えてしまうのもよくありません。人間が心地いいと思う具合に消えていくのが良いわけです。

(荒谷)エンクロージャーにも言えると思うんですが、徹底的に鳴らさないように作るのがいいのか、ある程度鳴らすのかということですね。

(乙訓)鳴らさないようにして本当に鳴らなければいいんですけどね。どうせ鳴るんですよね。

(荒谷)どうせ響くのであれば綺麗に響かせてあげる方が良いということでしょうか。

(乙訓)そうですね。全く響かないというのはないわけなので。であれば響いても悪く感じないようにしなければいけません。

(荒谷)その辺もフレームの素材の選択に関係ありますか?

(乙訓)そうですね。それが全てです。

(荒谷)エンクロージャーの材料をどうするかとか厚みの分布をどうするかとかにも全部に言えることですね。

(乙訓)そうですね。収束させておとなしくしながらバランスをとるときと、ある程度響かせて整えるのかという手法があります。着地点は違いますが手法や考え方は同じです。気持ちよくするためには整えてあげることですね。

 

ツィーターフレームの形状

(荒谷)フレームの形状はどうでしょう? G2000a のフレームは円形です。T250D はいびつな形状ですね。コンセプトとしてはウーハーとなるべく近く配置できるようにということだと思います。

(乙訓)そうですね。

(荒谷)この形状は今回どうしますか?

(乙訓)今回はふつうの円形にしたいと考えています。

(荒谷)実はこんな質問している私自身が円形にすることをリクエストしています。自作される方がバッフルを加工してフレームを落としこもうとしたときに T250D のようにフレームが円形でないと結構加工が難しいですよね。最近はフレームの厚み分をザグって綺麗に落としこんで作る方も多いので。円形であれば比較的簡単に落とし込む加工もできます。是非カッコいいスピーカーができるように円形でお願いしたいです。

T250D(右) は特殊な形状のフレーム

 

ツィーターの保護(ネット)は悪影響?

(乙訓)あとは振動板の保護ですね。これについてはちゃんと保護できるようにしようと思います。

(荒谷)確かに振動板むき出しでこのまま売られると破損が怖いですよね。

(乙訓)ちゃんと保護できるように網をつけることを考えています。

(荒谷)網をつけることの影響は全くないことはないと思うのですが、これについてはどのように考えていますか?

(乙訓)それが障害物だから嫌だという方はそうなのでしょうが、個人的には網があった方がまろやかに聴けると思います。音響ビームでビシっとさせたい場合は無い方がいいです。音場を作ろうとするならばむしろあった方がいいです。ただ、針金を編んだようなメッシュは避けたいです。板にパンチングした方が良いですね。GX100BJ の保護はそうなっています。遮蔽物は無い方が良いという考えも理解できますが、無いことでトンがった音でピーピーするよりもまろやかに聴こえる方が良いのではないかという判断です。

(荒谷)はじめからネットがある前提でチューニングすれば、ネットがあるから「ウーン」みたいに気にしなくても良いということですか?

(乙訓)そうですね。GX100BJ に関しては網を取ってしまうとうるさくて嫌ですね。

(荒谷)なるほど。

(乙訓)つけてよく鳴るように調整しています。ここは思想の変化かもしれません。遮蔽物はない方が良いという考え方から、網があった方がこんな風に良く聴けますよ ということですね。

GX100BJ のツィーターのネット
ツィーターの端子について

(荒谷)あとお伺いすることとすれば端子の部分でしょうか。G2000a のツィーターは後ろに端子が付いていてバナナプラグでも刺せるような形状になっています。T250D GX250MG のツィーターはファストン(205サイズ)がつけられるような状態になっていますね?

(乙訓)これは最善と思うのは T250D の方ですね。ボイスコイルから線を引き出して最短でいけるのはこちらの形状なんです。しっかりとしたターミナルの付いている G2000a のツィーターの方が高級には見えますが中で色々なつなぎ目があって複雑です。接点も素材も多くなってしまいます。今回はボイスコイルの線からなるべく内部配線まで短距離でつなげる構造にしていきます。

(荒谷)となると今回見ていただいたツィーターの特徴を併せ持ったようなツィーターになりそうですね。

(乙訓)この3機種の要素技術を応用しながら今回の用途に合わせていきたいですね。

(荒谷)なるほど。型番は T250A とでもなりますかね?

(乙訓)実は T250A ってかなり前に展示会で出したことがあるんです。ようやく出ますね。

(荒谷)出したことあるんですか?

(乙訓)参考出品では出てます。

(荒谷)今度のモデルのフレーム型は128mmFT48D FE108EΣなどと同じ径)ですね?

(乙訓)そうです。ラグ(端子)をボイスコイル付近から出すための大きさですね。あとは半田付けはしないでくださいね。ファストンでしっかりつないだ方がいいですね。

(荒谷)こての熱の影響がありますか?

(乙訓)一旦熱が加えられた影響もそうですし、半田そのものの影響もありますね。


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