FOSTEX 6.5″ 2way Project Phase 1 (Project Launch) Text 1/5

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はじめに : プロジェクトコンセプト/製品コンセプト

この FOSTEX 6.5 2way Project FOSTEX で開発するスピーカーを FOSTEXショールームで開発過程を一般に公開しながら進めていくプロジェクトです。

製品開発そのものもプロジェクトですが、公開しながら、場合によっては公開の場にいらっしゃる皆様にご意見を伺いながら進めていくというプロセスまでを含めての「プロジェクト」です。皆様のご意見もできる限り取り入れながら開発を進めていきます。

開発した商品は最終的に完成品として、あるいはユニット単体、エンクロージャー単体として FOSTEX から発売することを視野に入れています。完成品を求める方も、ユニットを使ってオリジナリティを発揮したい方も是非開発プロセスに積極的に関与して頂ければと思います。

 

ここからは2018年5月25日に行われた Phase 1 プロジェクトローンチ の模様を2人(乙訓:フォステクス エンジニア, 荒谷:聞き手, ショールームマネージャー)の対話形式でお届けします。

 

なぜ 6.5”(ロクハン)なのか?

(荒谷)まず、なぜ今回ロクハン(6.5インチ, 16cm)なのでしょうか?

(乙訓)簡単にいうと20cmだと大きすぎる、13cmだと小さすぎる。あいだをとっての16cm(ロクハン)ということです。

(荒谷)それはどのような意味ですか?

(乙訓)これまで FOSTEX では本格的な 16cm 2ウェイのモデルは発売していません。(廉価モデルの GR160 はひとまず除いて)20cm 以上の大口径ウーハー、13cm 口径のウーハーにはそれぞれに特徴がありますが、今回はこれまで本格的に取り組んでいないそのあいだの 16cm に取り組んでみようと考えました。20cm 以上の大口径は振動板面積が大きいので、低域の量感は得られます。一方、その分質量が増しますから中高域は反応が悪くなって質が劣化します。2ウェイの場合は直接ツィーターにつなげますので、質的なつながりに影響します。

ユニットの口径比較。左から13cm, 16cm, 20cm。

(荒谷)よく乙訓さんは質的なつながりということをおっしゃいますね?

(乙訓)音圧のつながり。つまり周波数特性をフラットにするというのは、正弦波が入力されたときの周波数ごとの音量を一定にするだけで、音楽を聴いたときの音質がつながっているわけではありません。

(荒谷)20cm になると FOSTEX では3ウェイ以上になりますね?

(乙訓)そうです。20cm だとミッドレンジを加えた3ウェイにしたくなります。

(荒谷)小さい方、例えば 13cm と比べるとどうですか?

(乙訓)13cm 以下の小口径は振動板の面積が小さいので、低域の量は大口径のウーハーにはかないません。一方、質量が小さいので動作が正確で質感が高いため、ツィーターとの質的なつながりは良くなります。今回開発する 16cm は小さすぎず、大きすぎない。軽さと大きさのいいとこ取りができるギリギリのサイズ、「中口径」であるといえます。

 

「プレミアム・クラフト」というコンセプト

(荒谷)FOSTEX には GR160 という比較的リーズナブルな2ウェイモデルがありました。

(乙訓)16cm 2ウェイを開発しようとするとそこそこのサイズになりますし、上位シリーズのラインナップにそれを加えようとするとかなりの高価格になることが想定されました。そこで当時 GR160 は廉価モデルとすることに決めて設計されました。

(荒谷)今回はみなさんに見ていただくことも含めてのプロジェクトですから、「いかにコストダウンするか」よりも「いかに高品質なものを開発するか」ということになりますよね?

(乙訓)そうですね。

(荒谷)そうなると結構な高級モデルになりそうですね。いま FOSTEX ではプレミアム・クラフトという構想があると聞いています。FOSTEX のスピーカーユニットだと例えば FE シリーズなら 8cm から 20cm まで5つの口径がラインアップされています。一方でプレミアム・クラフトシリーズはドライバーの特徴(口径/材質/種類)を活かして、最良の技術を駆使して作り上げるシリーズだということですが?

(乙訓)そのように考えています。今回のモデルだけではなくて続きがあると考えていただければ。


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